訪問診療と往診の4つの違い!費用の違いも含めてわかりやすく解説

病気や加齢によって通院が難しくなった時、訪問診療や往診をしてもらうことで、自宅などでの生活を続けることができます。訪問診療や往診と言われても、違いが分からないと感じている人もいるかもしれません。この記事では、訪問診療と往診の違いについてわかりやすく解説します。

目次

訪問診療と往診の4つの違い

訪問診療と往診は、どちらも自宅などに医師が訪問し、医療サービスが受けられる、「在宅医療」です。しかし、訪問の頻度、治療内容、期間、計画性があるかないか、など大きな違いがあります。

診療が事前に計画されているかどうか

訪問診療は「毎週〇曜日の〇時」や「毎月第1・3〇曜日の〇時」など、定期的に医師が患者さんの自宅に訪問します。どのような治療を受けたいか、患者さんやご家族と相談しながら、計画をたてて診療を行っていきます。

往診の場合は、通院できない患者さんやご家族の要請を受けて、その都度医師が訪問するものです。急な病状の変化や救急車を呼ぶほどでもない場合に、臨時の手段として利用されます。

患者や家族などの同意は訪問診療に限り必要

往診は同意書の必要がないのに対し、訪問診療を行う時には、必ず患者さんやご家族の署名付きの同意書が必要です。同意書がないと国に訪問診療料を請求できないようになっています。様式に決まりはないので、医療機関によって同意書の内容や様式はさまざまです。

「同一建物居住者」の概念は訪問診療にのみある

訪問診療の報酬のルールとして、「同一建物居住者」というものがあります。ひとつの医療機関が、同じ日に同じ建物(マンションや高齢者施設など)の患者2人以上を訪問診療した場合に「同一建物居住者」となり、同一建物居住者以外の訪問診療料よりも低い点数を算定します。

実施回数の制限は訪問診療にのみある

訪問診療には回数の制限があり、原則として1日1回、週3回までとなっています。特定の疾患や患者さんの病状によっては、週3回以上訪問する場合もあります。往診の場合は回数の制限はなく、1日に2回以上の訪問も可能です。

訪問診療と往診のそれぞれの適しているケースやその選び方

在宅で医療を受けようと思った時に、どのように過ごしていきたいかによっても、訪問診療と往診の選び方は変わってきます。それぞれの適しているケースや選び方を知ることで、在宅療養の負担を軽減し、最適な治療の形を選ぶことができます。

定期的かつ長期的な診療が必要な場合は「訪問診療」

訪問診療は1〜2週間に1回のペースで、定期的かつ長期的に診療を行います。

以下のような場合は訪問診療が適しています。

  • 自分で通院することが難しい
  • 入院はせず自宅で療養を続けたい
  • 最期の時を家族とすごしたい

訪問診療を利用することで、移動や待ち時間の負担が軽減し、在宅療養をつづけることができます。

緊急時の対応が必要な場合は「往診」

通院はできるけど、緊急時には普段からお世話になっている医師に、自宅で診察してほしい場合は「往診」が適しています。突発的な病状の変化や、救急車を呼ぶほどでもない場合などの臨時の手段として利用されます。

訪問診療と往診の費用・診療報酬の違い

在宅医療では、医療行為に対しては医療保険、介護サービスに対しては介護保険が適用されます。訪問診療と往診は医療行為のため医療保険の適用です。「基本診療料」・「往診及び在宅患者訪問診療料」など、厚生労働省が定める診療報酬によって金額が決められています。患者さんの医療費負担割合に応じて金額がかかります。

訪問診療は「在宅患者訪問診療料」が費用の中心

在宅患者訪問診療料は、患者さんの同意を得て、計画的かつ定期的に訪問診療を行った際に算定します。同一日に同一建物内での訪問診療を2人以上行ったかどうかでも点数が変わってきます。

同一建物居住者以外の場合は1回の訪問診療につき888点、同一建物居住者の場合は213点と、点数に差があります。(1点=10円として計算します)

患者さんの状態によっては、ターミナル加算、看取り加算などの加算や、在宅酸素などの指導管理料、訪問看護師などへの指示書料なども加算されるのです。

医師が月に2回訪問する場合の一般的な費用としては、70歳以上1割負担の方で約7,000円、2割負担の方で約14,000円です。医療費負担の上限額は決まっており、1・2割負担の方は18,000円、3割負担の方は所得に応じて約80,000円~260,000円までとなっています。

往診は「往診料」が費用の中心

患者さんが希望し医師が往診を行った場合に、往診料720点を算定します。1回の往診につき1回算定でき、回数の制限もありません。1日に2回以上の算定も可能です。緊急、夜間・休日、深夜などの場合は加算もあります。

患者さんの病状や往診時の状況によって加算も変わり、費用も変わってきます。

必要な治療が受けられるサービスを選ぼう

訪問診療と往診の違いや特徴、それぞれの適しているケース、費用などについて解説しました。住み慣れた自宅で医療が受けられるというのは、在宅で過ごす患者さんやご家族にとって安心材料です。

有意義な時間を過ごすためにも、制度を理解し、うまく利用していきましょう。気になることがあれば、かかりつけ医やケアマネジャーにまずは相談してみましょう。

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この記事を書いた人

墨田区出身
東京医科大学医学部医学科卒業
東京医科大学産科婦人科学教室入局
浅田レディースクリニック(不妊治療)
複数の在宅診療所での勤務を経て
「こはる在宅クリニック」を開設

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